先日の某医院で耳にした医者と患者の会話
医者:ちょっといろいろと治さなきゃならないところがあるんですが。
患者:ちょっとあんまり時間取れなくて。
医者:こことここと。結構あるんで、時間取れませんか?
患者:実は、今月末に会社を辞めることになって。
患者:新しい会社には来月末に就職する予定なんですが、それまで健康保険がないんです。
医者:わかりました。じゃ、私も時間をなるべく取れるようにするんで今月中になんとかしましょう。
患者:実は、今の会社から、今月末までには必ず保険証を返すように言われているんです。
医者:わかりました。
会社が退職後の社会保険の取り扱いについてきちんと説明していない
自分は以前、中小企業で社会保険に関する業務を担当していたことがあります。
この話を聞いていて、この患者の勤めている会社の社会保険担当者の対応がちょっと酷すぎると感じました。
何が問題なのでしょうか。
退職後も引き続き現在の保険組合に加入することができる任意継続制度がある
また、退職後の保険については、退職後も最大2年間の間、今加入してい健康保険組合に加入することができます。
在職時は、健康保険料は会社と折半でしたが、退職後は会社負担分も支払わなければなりません。
ただ、保険料は、あなたが在職時に支払っていた保険料か、その健康保険組合の構成員全員の保険料の平均のどちらか安価な方になりますので、それほど法外な保険料を支払わなくても済みます。
国民健康保険の保険料と会社負担も含めた健康保険組合の保険料とを慎重に比較して、どちらか安価な方に加入しましょう。
今罹っている病気の治療には継続療養制度がある
まず、今かかっている傷病に対しては、退職後も現行の組合保険で治療できる、継続療養という制度があります。
しかし、これは現在継続中の治療に対する保険の適用であって、退職後に発生する怪我や病気には対応していませんので、別途健康保険組合に加入する必要があることから、制度を利用するメリットはあまりありません。
健康保険証の返却は健康保険組合脱退日である退職の翌日以降で
退職日当日は健康保険組合に加入しているので、退職当日は保険証を返却する必要はありません。
退職日当日の夜に、急な病気で医者にかかることだってあり得ますから。
もし、その時に保険証を持っていない場合、健康保険に加入しているのに無保険治療で治療費全額が自己負担ということになりかねません。
たとえ1日でも健康保険組合に加入していれば、先ほど説明した継続療養制度で、健康保険組合脱退後もその健康保険組合で療養費の給付を受けることができます。
退職の翌日以降、郵送で(普通郵便でOK)で会社に郵送すれば問題ありません。
国民健康保険は強制加入
会社員であった人が退職しその後勤務しない場合、国民健康保険組合の加入者となります。
加入は、任意でなく強制です。
したがって、上の患者は、退職日の翌日に健康保険組合を脱退したのちは、国民健康保険組合の加入者となります。
なお、国民健康保険と健康保険組合の差は、保険給付部分に大きな差がありますが、医療費の自己負担には差がありません。
会社の担当者の怠慢以外の何物でもない
日本では、会社員が退職した後でも、必ず健康保険に加入することになります。
上の患者が勤務する健康保険の担当者はこれをきちんと説明していないか、現在の状況をよく話し合っていないと思われます。
退職予定の社員と話し合って、その後の就職状況も確認した上で
を説明する必要があります。
また、健康保険証の返却については、健康保険組合の脱退は退職の翌日であり、健康保険証の返却は脱退後で問題ないことを説明していないことをきちんと説明し、返却について念押しする必要があります。
これらはちょっと手間ですが、退職する社員への餞別の意味も込めて、きちんと行っておきたい業務です。
退職の際は社会保険に関してきちんと確認しよう
残念ながら、特に中小企業では、退職する社員への取り扱いはあまりきちんとしているとは言えません。
自分の身は自分で守る必要があります。
現在は、インターネットで検索すれば健康保険についての基本的な情報が集まります。
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